「支え合い、笑い合い、育ち合う」〜リングスの優しい日常〜

――リングスで広がる、やさしさと成長の時間

2025年2月、私たちリングスは倉敷市に新しく誕生した就労継続支援B型の事業所としてスタートしました。
当初はわずか数名の利用者さんと数名のスタッフで、手探りの日々からの始まりでしたが、月日を重ねるごとに少しずつ輪が広がり、今ではたくさんの方が通ってくださる場所へと成長しています。

年齢も性格も、背景も異なる人たちが集まるこの空間では、毎日が小さな発見と感動の連続です。
私たち職員も、日々利用者さんの姿に驚かされ、学ばされ、時には笑わせてもらいながら、「福祉の仕事」の意味をあらためて実感しています。

リングスでは、「その人らしく生きること」「できることを、できる範囲で楽しむこと」を何より大切にしています。
そしてその想いは、作業の時間にも、休憩の合間にも、レクリエーションのひとときにも、ゆっくりと、でも確実に根を張っていっているように感じます。

成長のスピードに驚かされる毎日

事業所内で現在中心となっている作業のひとつが、排水溝ネットの作成です。
数ヶ月前までは、一つひとつの作業工程を職員が丁寧に説明し、確認しながら進める必要がありました。けれど今では、その光景がまるで嘘のよう。
利用者さん同士で「ここはこうやったらやりやすいよ」「それ、向きが逆だよ」「これは検品済?」など自然に声を掛け合いながら作業が進んでいきます。

最近特に印象的だったのは、1500個の納品分が数日で終わってしまったこと。
あまりの早さに職員が「えっ、もう終わったの!?」と声を上げると、周囲からはニヤリとした笑顔とともに「はやいでしょ?」の一言。
検品作業が追いつかず、職員が「ひーひー」言いながら作業する様子を見て、「がんばれ~!」と応援され、作業の場はいつも明るく活気に満ちています。

利用者さんの中には、最初は不安そうに作業に取り組んでいた方もいました。
それが今では、周囲にアドバイスをするまでに成長し、正確でスピーディーな仕事ぶりに他の利用者さんからも信頼される存在となっています。
そんな姿を見ると、言葉にはならない想いが胸にこみ上げてきます。

工場での作業にも変化が

リングスでは、畳の工場での作業も大切な活動の一つです。
畳の原材料の補充や整理、簡単な仕分け作業などから始まりましたが、最近では少しずつ次のステップに進む方も増えてきました。

始めの頃は検品作業一つとっても、まずは不具合を探すだけの作業。不具合があれば職員に報告し直してもらう。
そんな作業に一生懸命取り組んでいました。

そこから数ヶ月経つと自分でも不具合を直せるようになりたいと、修復作業にも積極的に取り組んでくれました。
初めての作業に緊張しながらも、不具合を探し、丁寧に補修していくその姿はとても真剣で、作業を終えた後には、少し誇らしげな笑顔が見えました。

もちろん最初から完璧に出来たわけではなく、空いた時間で個人的に練習する利用者さんもいらっしゃいました。

作業に対する責任感や達成感は、人を内側から力強く変えていく。そのことを、私たちは日々目の前で見せてもらっています。

もちろん、工場での作業は気温の影響を大きく受けます。
特に夏場は汗が滲むほどの暑さの中での作業になるため、熱中症対策や休憩のタイミングには細心の注意を払っています。
それでも「今日はここまでやりたいから、あとちょっと頑張る」と口にする利用者さんの姿には、本当に頭が下がる思いです。

作業だけじゃない、心が動くレクリエーションの時間

リングスでは、日々の作業の合間に、心と体をほぐす時間も設けています。
それが「レクリエーション」です。

最近は、定番の「UNO」に加え、ちょっとユニークなカードゲーム「ito(イト)」や、「絵しりとり」などが人気です。
どれも、職員と利用者さんが一緒にテーブルを囲んで、笑いながら楽しめる時間となっています。

■ UNO ― ルールの先にある、会話と笑い

おなじみのUNO。
「リバース!」「ドロー4!」「うわ~またかぁ!」
そんな声が飛び交いながら、カードのやりとり以上に、その場の空気そのものを楽しんでいるような雰囲気が広がります。

ゲームの中では、「順番を守る」「人の話を聞く」「悔しさを笑いに変える」といった、社会性や感情のコントロールも自然と身につきます。

でも、何よりも大切なのは、
**「楽しかったね」**と終われること。
職員も利用者さんも、勝ち負けではなく「一緒に過ごせた時間そのもの」に満足しているように感じます。

■ ito ― 数字で見る、みんなの価値観

itoは、各自が数字の書かれたカードを引き、それを他の人には見せずに、お題に沿って“数字の強さ”を言葉で表現し、みんなでその数字の順番を当てていくゲームです。

たとえばお題が「怖さ」だった場合——
「私は高いところが苦手です」
「幽霊は信じてないけど虫がダメなんです」
「夜道とか普通に歩けますよ」
そんなふうに、自分の「怖さレベル」を言葉にして伝えます。

このゲームの面白さは、価値観や感じ方の違いに触れられること。
同じ数字でも、捉え方は人それぞれ。
「えっ、それが“5”なの?」「こっちは“9”だと思った…」なんて声も飛び出し、会話がどんどん弾みます。

ちょっと難しいけれど、笑いながら、真剣に考えて、
最後に全員で「合ってたー!」「惜しいっ!」と喜んだり悔しがったり。

知らなかったお互いの一面を知ることができる、リングスの人気レクリエーションのひとつです。

絵しりとりで生まれる想像と発見

そして最近、じわじわと人気が出てきているのが「絵しりとり」。

言葉は使わず、絵だけでしりとりをつないでいくこの遊び。
一見シンプルですが、やってみるとこれがなかなか奥が深いんです。

たとえば、同じような魚の絵が続いたとき。
「これはマグロ!」「これはハマチ!」と、あえて描き分けずに、見る人の想像力に託すという高度な作戦を使う利用者さんも。
参加者全員が「え?これ、何の魚?」「また魚!?でも何!?」と爆笑しながら想像をふくらませます。

また、ある日、絵しりとりを通じて**「実はすごく絵が上手だった」**という利用者さんの才能が、ふとした拍子に発見されたこともありました。

「え、すごい!」「この絵、めちゃくちゃリアルじゃない?」
周囲からそんな声が上がり、本人も少し照れながらも嬉しそうな表情を見せてくれました。

こうした時間は、遊びの中にある“学び”や“気づき”の宝物です。
そして、何よりもコミュニケーションのきっかけになり、皆さんが自然と笑顔になる瞬間でもあります。

また、「普段はあまりおしゃべりをしない方が、驚くほど可愛らしい動物の絵を描いていた」という場面もありました。

描いたご本人は少し照れながらも、嬉しそうに微笑んでいて、その笑顔に周囲も自然とほっこりとした空気に包まれました。

ここには、やさしさが流れている

リングスには、10代の若者から70代以上の方まで、幅広い年齢層の方が通っています。
職員よりも年上の利用者さんも多く、時には「娘みたい」「息子みたいに見えて仕方ない」と、家族のように接してくださる場面もあります。

体調のこと、家族のこと、昔のお仕事のことなど、いろんな話をしてくださる方がいて、職員のほうが「教えてもらうこと」も少なくありません。
年齢や立場を越えて、自然と生まれる信頼関係。
それが、リングスという場所の温かさをつくっているのだと思います。

「ここに来てよかった」と思える場所でありたい

リングスで過ごす毎日は、決して派手ではありません。
でも、小さなことに感動し、少しずつ前に進み、一人ひとりが「自分でいられる」ことを大切にできる、そんな場所です。

誰かの笑顔が、誰かの力になる。
誰かの成長が、誰かの励みになる。
そして、その循環が日々の原動力となり、また新しい明日をつくっていく。

これからもリングスは、そんなあたたかい循環の中心でありたいと願っています。
すべての人が「ここに来てよかった」と思える場所を、みんなでつくっていきます。